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「ここは、私の屋敷よ。さぁ、もう少し、おやすみ。目が覚めたら、色々と話さなければ。おやすみ、留樹、泉、大輔、拓哉(るき、いずみ、だいすけ、たくや)」
女性は、留樹達に微笑みながら、呟いた。
女性は、留樹達が、再び眠りに付いたのを、確認すると、部屋の灯を消し、扉を閉めた。
女性の部屋は、医務室から、六つ離れた所に、あった。
部屋に入ってすぐ左手にウォークインクローゼットがある。正面には、大きな出窓があり、金糸で縁取られたワインレッドカラーのカーテンが、かかっている、出窓の前には天蓋付きベッドが置いてあった。
右手には、机が置いてあり、机を挟む位置に、本棚が置いてある。
女性はネックレスをジュエリーボックスにしまい、ベッドに倒れ込んだ。
「いつまで、起きてるつもりだい? 妖(あや)」
妖は、声の聞えてた方へ視線を向けた。
そこには、一匹の黒猫がいたが、黒猫の背には、コウモリの羽根が生え、黄金色の瞳。藍色の首輪に、金と銀の大袈裟な鈴が付いている。
「今寝るわ。明日も早いしね」
妖は、ベッドに潜り込み、傍らに丸くなったリトルに、言った。
愛しそうに目を細めて。
「それにしても、どういうつもりだい? 妖、黄昏時(たそがれどき)に屋敷を出て行ったかと、思いきやあんな、小汚ない子供を四人も、拾ってきて。頭でもイカれちまったのかい? 魔界皇后、妖艶魔世魅(まかいこうごう、ようえんまよみ)」
少し刺を含んだ物言いで、リトルは言った。
「別に、頭はイカれていないわ。ただ、何となくよ」
「そうかい、……久々に食ってきたようだね。下賤な者は食わないんじゃなかったのかね」
リトルは、妖の言葉に鼻で笑うと、皮肉っぽく言った。
「………寝ましょ。この話はこれで、おしまい。おやすみ、リトル」
「おやすみ、妖」
これから、謎多き妖と四人の子供達の物語が始まる。
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