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「うひゃぁっ……!!」
午後九時の、大学終わりの帰宅途中。
珍しく豪雨となった今日、私は本日、五度目の悲鳴を上げた。
ちなみに、大学を出てからまだ十分ほどしか歩いていない。
にも関わらず、傘は骨が力なく震え、五度目の命の危険を訴えている。
「雨はいいけど……風は要らんでしょうがぁあっ!」
前方から吹き荒れてくる風と、殴り付けるような雨と戦いながら、後数分で到着予定のマンションを目指す。
メイクを施したそこそこの顔も、今は可愛さゼロを極めていて。
朝、時間を掛けて丁寧に巻いた長い茶色の髪も、今は空しく乱れたまま後方に流れている。
「でも自然に負けてたまるかぁあっ!」
鞄を頭に乗せたサラリーマンが、怪訝そうな顔ですれ違っていったけれど、とりあえず無視。
いや、見なかったことにしましょう。
ずんずんと足を進めて、やっとマンションが見えてきた。
緑豊かに見えるそれは、建ってからだいぶ経っていて、見るからに古い。
まぁ、家賃が安いから助かっているわけだけどね。
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