LESSON:4 -another- ナグサメ(日速side)

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(…なんて、悠灯に伝えれば) 悠灯の気持ちは、飛び上がるほど嬉しい。 もう、十分すぎるほどのものをもらってる。 でも、俺の家のことはいいんだ、悠灯。 俺の心をボロボロにした原因だから、気にしてくれているのだとわかってる。 でも、いいんだよ、お前はそんなことを気にかけなくて。 【過去の俺】じゃない、 【今の俺】を、もっと見て欲しい… 「…家の事情より、大切なのは俺と悠灯がどうかってことだと俺は思う。 お前の気持ちは本当に嬉しいし、ありがたい。 でも、赤坂家じゃなくて… 日速を見てくれ、悠灯。」 悠灯はそれ以上、言ってこなかった。 なんとか、わかってくれたかも知れない。 でも、ちょっと言い過ぎた。 悠灯が弱ってんだからもっと優しいこと言ってやりゃよかった。 ふわ、と笑ってくれた悠灯の表情は、なんとも言えないもので。 また、困らせてしまったな…と反省。 (ほんと、俺は未熟だな…) 「日速には、きっと、この気持ちはわからない。 でも、俺、無力で…虚しくて…。 俺には受け入れることもできないのかって。」 今は、悠灯が俺にしてくれていることを認めて、本気で感謝するのが1番だと思った。 「悠灯、本当にありがとな。 受け入れてくれようとしてくれる、それだけで本当に嬉しいぜ。本当に感謝してんだ。 その気持ちだけで、俺がどんなに救われてるか、お前は気づいてないだけだ。」 優しく肩をさすってやると、納得はしていなさそうだが寄りかかってきてくれた。 ここまで言えば、少しは俺の気持ちもわかってくれた…と思う。 「特別はことなんて、何もしなくて良いんだ、悠灯。俺は悠灯と一緒に居られるだけで、救われる。 今の俺を、受け入れてくれる、それが俺の1番求めてることだから。」 まだ、【ずるい】って顔はしてるが、俺が何度も何度も気持ちを伝えた甲斐もあってか、少し照れ始めているのがわかる。 (かわいい…) 本当に、悠灯に出会って俺は救われたんだぜ。 …悠灯に拾われるまでの俺は、生きながら死んでいたんだからよ。
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