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・・・あの後、なんとかギリギリ間に合った。
迅と話すのが楽しくて、ついつい時間を忘れてしまったのだ。
部活には遅刻しなかったものの…副部長の海藤先輩が怖かった。
『残念だったな。あと10秒遅ければ…ぐっちゃぐちゃに犯してやったのによ、悠灯』…なんて、言って詰め寄ってきた時は生きた心地がしなかった。
あの人はどこまでが冗談なのか分からないから怖い。わざとらしく腰を撫でてくる手をあんなに怖いと思ったのは初めてだよ…。
海藤晴也(かいどうせいや)は現二年の先輩で、吹奏楽部の副部長だ。
すごくかっこいい人で高校生なのにスーツを着たらホストっぽくみえるようなルックスをしている。
いろんな方面において「できる人」ではあるのだが、かなりの女好きしかも遊び人で有名だ。いつも女の子で遊んでは捨てているという噂が絶えることはない、一部は真実だから仕方がない。
先輩の実力とかカリスマ性はその問題点をも超えてしまうほどだから、本当にすごい人ではあるのだけど…尻ぬぐいを俺にさせるのはやめてほしい。
ぶっちゃけ、海藤先輩は部長の憂匡先輩よりもしっかりしている。
他校偵察や講師のアポ、会計など…俺と部長しか知らないけど、かなり仕事をこなしてくれている。
俺は勝手に次期副部長扱いされているので、たびたび呼び出されては海藤先輩の手伝いをさせられている。
こちらは副部長になる気はさらさらないのだが、あの量の雑務を海藤先輩1人にさせるわけにはいかないし、女子部員に手を出されると厄介なので引き受けている。
なんだかんだで俺は先輩を尊敬しているから、そんな彼に雑務でも頼られると満更でもなく引き受けてしまうのだ。
彼のパーカッションの技術の高さ、多岐にわたる知識、抜群のセンスは群を抜いている。
先輩が一番得意なのがティンパニーやドラム。
それを生かして軽音部を兼部しているようだ、特定のバンドにはおらずソロか即興、サポートでドラムをやっているらしい。
上手いのは当然、その様は男でも憧れるくらいカッコいいのでライブのたびに女の子たちが騒いでいる。
まあ主にそこで女の子を持ち帰ってしまうから女関係のトラブルが尽きないのだけどね…
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