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LESSON:4 -another- ナグサメ(日速side)
【日速side】
「く、痛ッてェ・・・」
ズキズキと痛む腰をおさえ、ヨロヨロと床を這う。
俺の17年の人生において、こんなに腰が痛くなることがあっただろうか。いやない。(反語)
(悠灯のヤツ…本気で蹴りやがって…)
痛いはずだ。
巷で噂(多分)の「音速の右ストレート」までキメられてしまったのだから。
あれが鳩尾だったら、今ごろ意識飛んでた気がする。
顔を避けてくれたのは、顔命のヴィジュアル系をやっている俺への、アイツの気遣い、だと思う…そう思いたい。
(・・・いや、その)
悠灯(の脱いでる姿が)が、見たかったから…つい。
智に誘われてノッてしまったのがマズかった。イタズラ気に「覗いちゃおうぜ」なんて言ってきやがって。
「知らねぇぞ」とか呆れ口調でアイツに返しつつ、内心は覗きたくて仕方ないという、俺の下心が智によって後押しされたようなものだ。
まあ、結局・・・
バレて、二人ともこの様なんだけどよ…。
腰と腹は絶対痣になっているだろう。
鈍痛が続いている。
それでも裸見られてラッキー!…なんて思ってしまう俺の頭は大丈夫なんだろうか。
悠灯は男だ。そして俺も男だ。
でも、もはや性別とか悠灯においては関係ない。
…覗き見した挙句、悠灯が1人でシてる声まで聴いてしまった。男の声なのに、かなりキた。
風呂場のなかは、声が響き、エフェクトがかかったような様になる。
だから、悠灯の少しかすれたみたいな、切羽詰まった高い声が、何倍にも濃縮されたみたいに俺の耳を犯して。
(・・・生き地獄だった)
クラクラした。
身体が熱くなって、やばかった。
俺は、アイツがオナってるときの声だけで何回ヌけるんだろうなんて末期な考えが頭に浮かんでしまった。
いつも余裕そうな、悠灯の丁度いいトーンの声が、あんなに風に余裕なさそうに喘ぐなんて、想像もできない。だからたまらなかった。
そんな秘密を知ってしまったことに、ものすごい優越感を感じてしまう。
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