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「・・・なにも言わなくていい。」
そう、口にして悠灯の肩に手を添える。
悠灯は、いつも難しく物事を考えすぎだ。
どうせ、感情で動いた自分を責めてるのだろう。
完璧主義をうたうからこそ、傷付くのだろう。
自分で自分を追い込んでしまう、悠灯の悪い癖だ。
肩を抱いてやると、そのままゆっくり寄り掛かってきた。
そのまま、頭を撫でて、髪を梳く。
普段なら絶対怒られるが、悠灯は弱ってるときはこんなにも素直だ。
こうして甘えて来る。
そんな時は、ただ優しくしてやればいい。
必要以上に、なんにも言わないで、そばにいて、抱きしめる。
そうすれば、俺を頼ってくれる。甘えてくれる。
そのうち、悠灯も調子を取り戻す。
…俺は、それをいいことに、悠灯に依存している。
(俺には・・・悠灯しかいねぇんだ)
だから、俺は悠灯に対する独占欲がものすごく強い。悠灯が他の奴といるだけで、イライラする。ヤキモチの妬きかたといったら、ガキレベルだ。
でも、その理由はよくわからなかった。
一人占めしたい気持ちはあるが、こんなにもイライラするのは、なぜなのか。
最近、迅や智に会って…俺はやっとその理由に気付いた。
それはとても簡単なもの。
イライラの理由は悠灯へ近づいてくる奴らへの【嫉妬】だった。
だから、俺はあんなにも悠灯の周りを蹴散らしていたのか…と
そして、さらに気付いてしまった。
…俺が、どうしてそこまで悠灯に拘るのかということにも。
・・・俺は、悠灯を「恋愛の対象」として、見ている。
要するに、「好き」なんだ。
それも、 “likeじゃなくて、“love”だ。
最初は信じられなかったが、そう考えると全てのつじつまが合ってしまったものだから、もう逃げることが出来なくなった。
俺の“好き”は完全にキスしたいとかソレ以上もしたいっていう好きだ。
性的な目で、アイツを見てることも、今までの供述から、もうお分かりだと思うが。
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