LESSON:4 -another- ナグサメ(日速side)

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でも、実際のところ。 男同士っていう以前に、悠灯には恋愛する気が全くない。 仮にアタックしたところで断られて捨てられるに決まっている。 だから、俺はその想いを隠して、今まで通り悠灯と接することにした。 今まで通りにしてれば・・・ 悠灯の傍にいられる。 悠灯にふれられる。 悠灯は俺を頼ってくれる。 悠灯の“一番の親友”っていう最高の地位。 好きな奴に、「1番だ。」って言われて嬉しくないわけがない。 …それが“love”の意味ではなくても。 でも、いくら1番の親友だったとしても、今回の覗きは良くなかった…と反省している。 悠灯は、過干渉が嫌いだ。 するのも、されるのも。 必要以上に相手の領域に踏み込んでくることはない。 ワケアリの俺としては、それはとても心地が良くて、俺が悠灯に依存する理由の一つであると思っている。 だが、踏み込んでこないということは、踏み込ませてもくれないという意味でもある。 だから、俺は出会う前の悠灯のことを、ほとんど知らない。 悠灯は、他人と一定の距離を断つことで、自分を守ってきたのだろう。 こうやって、人を突っぱねてきたのだろう。 「…そうやって自分を守ってきたんだもんな?」 図星って顔。 (あー…だから) その上目遣い…やめろって… (キスしたくなんだろーが) こんなこと、こんな状況で思う自分に自分で呆れる。 「俺…気をつけるから。 だけど自分だけで全部背負おうとすんな。」 頭を撫でてやると逃げられてしまった。 そのまま俺の方を振り向き、不機嫌そうに見上げてきた。 「…日速は…ずるいよ。」 「…悠灯?」 悠灯はため息をついて黙ってしまった。 (ずるいって…なんだよ) 心配になって、悠灯の目を見ると涙が滲んでいた。 (え…ちょ…) なにか気に障ることを言っちまったか!?
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