LESSON:4 -another- ナグサメ(日速side)

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「ホント…ずるいよな。 日速はいつも俺の心に勝手に入って来る。 俺が言わなくても、お前はわかってくれちゃうだろ。だから…お前、俺のこと、色々知ってる。」 それは、否定できない… 「日速は俺のことを知ってるのに、俺は…お前のことを何にも知らない。俺が歩み寄っても、お前は俺を迎え入れてくれない。今は無理なんだ、今はまだダメだ、って、そればっかりじゃねーか。 お前は、俺の中にはズカズカ入って来るくせに、自分は俺を1ミリたりとも迎え入れない。 …それが納得いかないんだよ。」 「・・・・悠灯。」 ああ、悠灯の言う通りだ。 でも、今の俺では本当に無理なんだ。 今の俺のありのままを知れば、きっと悠灯は離れていってしまう… (こわいんだ…) 俺はただ勘が冴えているだけだ。 悠灯のことを、本当のお前を、俺はまだまだ知らない。 悠灯が思っているほど、俺はお前のことを知らないのに。 (それでも、俺はお前に教えなさすぎだよな…) 自覚は、もちろんある。 「…俺が過干渉を嫌うのは日速も分かってくれてる。お前にも事情があるのもわかってるから、俺も干渉してこなかった、ずっと。」 悠灯のことを想って、過干渉をなるべく避けてきた。お互いにそうしてきたから心地がよかった。 でも、これは… 悠灯から、俺に歩み寄ろうとしている。 「…でも、あまりにもアンバランスだ。 俺だけ、日速のこと、なんにも知らないなんて。 ・・・・こわいよ。」 きゅっと、悠灯が服の裾を掴んできた。 その手を、今すぐにでも掴んで引き寄せてしまいたい衝動に駆られるが、今は我慢だ。 「・・・不安になるだろ、ばか。」 あー、こんなにも俺のことで悩んでいてくれたのか…。 俺のために、普段は超えようとしない【干渉】のラインを超えようとしてくれている。 (嬉しい・・・) 悠灯が、そんな風に考えてくれているなんて。 「悠灯・・・」 悠灯が、俺にちゃんと向き合おうと、してくれている。 (やばい・・・すげぇ嬉しい…) そして最後に言った、「ばか」ってのが、想像以上に可愛くて、もうだめだ。 俺の息子耐えてほしい。 俺の服の裾をつかんでいる手は、少しだけ、震えていた。 (・・・・うわ、マジか) 本気で抱き寄せたい衝動に駆られてしまう。 (頼む、空気を読め!俺の理性!)
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