LESSON:4 -another- ナグサメ(日速side)

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悠灯は、突き放してこなかった。 ただ、されるがままで、驚いた顔をしていた。 元々大きな目が、一際大きくなっていた。 この現状がわからない…と言ったところか。 当たり前だ。 この会話の流れでキスされるなんて、悠灯が分かるわけがない。 さっきの見つめ合いだって、悠灯にとって【そういう意味】を含んだものではないのだろう。 このハイスペック男は、この手のムードの感知に関しては…残念ながら壊滅的なのだから。 俺にキスされんのは二回目だろうが、今回は込める感情が全然違うぜ、悠灯。 (悠灯…嫌なら拒否しろ…) 全力で、拒否しろ。 さっきと同じかそれ以上に俺を突き放せ。 蹴り飛ばしても、殴り飛ばしてもいい。 (じゃねぇと…止められそうにねぇんだ) 「んっ…は…」 唇を離してやると、真っ赤な悠灯の顔があった。 涙ぐんで紅潮した顔が、色っぽくて、かわいくて。 半開きの口からこぼれる、甘い吐息が…俺の口許にかかった。 (やべぇ…なんて顔してんだよ) まじまじと、見つめてしまう。 「嫌なら言え。 俺、今なら止められるから…。」 (・・・・もう、限界だ。) これ以上、そんな姿を見せられたら… きっと…俺は止まらない。 俺は、このまま悠灯を押し倒して食べてしまう。 …そんなこと、望んじゃいねぇだろ、悠灯。 なのに、 (なんで、) なんで、お前は俺を、その瞳に映したままなんだ。 なんで、そんな真剣に俺を、見るんだ。 悠灯は、潤んだ瞳で俺を見つめたまま… 「…ぁ…ひず…」 俺の名前を呼ぼうとする 「ッ・・・!!」 (我慢…できっかよ…!!!!) しびれを切らした俺は、さっきより少し強引にキスした。 ・・・・拒否は、されなかった。
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