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天井からつるされた、星座や惑星のオブジェが、夜光塗料でぼんやりと青く光っている。
白くて綺麗な肌を、ベッドサイドの星形の間接照明が、夕焼け色に照らしだしていた。
その光以外は暗闇で、そのコントラストが、俺の気持ちを高ぶらしていく。
(夢じゃ、ないんだよな)
・・・今、俺が組み敷いているのは、
間違いなく、御子柴悠灯。
俺の…、好きな人。
(・・・・分かってんだよ)
悠灯が求めているのは、誰でもないんだって。
俺は、理性を失っちゃ、いけない。
この行為自体、あくまで、傷ついて今にも壊れそうな、悠灯を慰めるため。
でも、実際のところは、そうともいかない。
(すげー舞い上がっちまってる…)
今にも悠灯を好き勝手にシたくて、たまらない。
何度も言うが、そこまでデキた人間じゃねぇんだよ、俺は。
ぼんやりと俺を見つめる悠灯に視線を移す。
悠灯の涙にぬれた瞳が、琥珀色に輝いていた。
少し色素の薄い、琥珀のような茶色の瞳は、光の加減で夕日のようなオレンジ色に見えることがある。
(いつもは、夕焼けの時にしか見られないのにな…)
星の間接照明のオレンジのせいかもしれない、なんてこと考えて。
暗闇の中に輝く【夕焼け】は、【あの日の夕焼け】と似ていて、すごく綺麗だった。
夕焼けの目元に口づけを落とすと、悠灯は静かに目を閉じてくれた。
いつもはキスだけで赤くなって騒ぐのに、今はこんなにも大人しくて素直なんて…
悠灯も、相当正気じゃねぇんだろーな、なんて、考えつつ、目元にちろりと舌を這わせる。
嫌がられないとはいえ、あまりにも抵抗されないものだから、逆に不安になってきた。
普段のツンッとしたクールなところや、エロいことには赤くなって抗議するのが、俺の知っている悠灯なんだけどよ…。
(・・・よろこんでいいのか、これは)
服に手をかけ、少し迷う。
この状況に至っているのも、今の悠灯が正気じゃないからであって、【赤坂日速】がこの行為に至ることを、悠灯が許してくれているわけじゃないのだ。
(・・・・いいのか、俺)
このまま、手をだしてしまっても。
悠灯は目を閉じて、身を委ね・・・とまでは言わないが、この先は俺に決定権があるのは確かだ。
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