異変

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小野寺が会社を休んだ 風邪でもひいたのだろうか 「律っちゃんが会社を休むなんて珍しいね」 木佐の言葉が胸にひっかかった 確かに小野寺は剥きになっても会社に来ようとするハズだ なのに風邪で休むなんて… 「羽鳥」 「はい?」 「俺ちょっと帰る。あとは任せた」 「…分かりました」 羽鳥は理由を聞いてこない 今は都合が良いけど 俺は駅へ足を急がせた マンションに着いた 何時も使っているエレベーターを使おうとしたが、待っている時間が長い ……… もういい 俺は後ろにある階段を駆けた ダダダダダダダダ 長い 長い 運動不足かもしれないな ダダダダダダダダ 足がもう痛い タタ…タ…タ 着いた 「ハァ、ハァ」 息を整えて小野寺の家へ向かう ピーンポーン… 反応がない ピーンポーン…ピーンポーン …やっぱり無い 電話をかけてみようとするが 『オカケニナラレタ電話番号ハ現在ツカワレテオリマセン…番号ヲオタシカメニナッテカラ、もう一度…』 え?… なんで? ツカワレテオリマセン? 俺は小野寺の家のドアノブに手をかけた ガチャン 開いている 家に入ると なにも、ない 靴も、服も、小野寺も なんで? 部屋中を探してみると、一枚だけメモが落ちていた 拾って読んでみると、小野寺の字で、信じられない事が書いてあった 『俺は、高野さんの前から消えます。生きていることは約束します。今までありがとうございました』 …ハ?
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