異変

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律 「こっちです」 里奈は巫女服に着替えて、とある神社へと案内してくれた 「律さん。何故、この力を使うんですか…?私は理由を聞かないと遣りたくないんです」 理由……か 小野寺の家系の女…いや、特別な黒髪の少女だけが持つ力 その力は、忘滅の力がある 里奈がその1人 俺は、その力を使って、高野さんの事を忘れようとしていた 「………大事な人に、迷惑をかけてしまったから…」 「……………………そう」 里奈は静かな声で言う 長い髪で、顔が見えない 「後悔はないんだ」 「……………ぅん」 高野さん…忘れないと… 忘れないと… 忘れないと… 忘れないと… 忘れないと… いけないのに!!!! 「…?律…泣いているの」 「ズビッ…ないてない…」 「…………」 「うぅ…ヒックゥ…」 泣いちゃダメなのに 泣いちゃダメなのに 「律…」 「うぅ、ひっく…うわぁ―ん………」 高野さんを忘れるのが 辛い 「律、今日は止めよう」 「ヒックゥ…う、ん」 里奈は来た道を手を引っ張り戻ろうとする 俺も、泣きながら戻る 「はぅ…ヒックゥ…」 「ゆ―や―けこ―やけで、ひがくれて―…」 空は紅い トンボがスゥー…と飛んでゆく 涙は止まらない
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