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高野
ブゥ―――――ン……
車を岐阜まで飛ばしてまだ1時間
俺は渋滞に巻き込まれていた
くそ……
早くしないといけないのに
小野寺が行ってしまいそうなのに
運命はなんで、俺を苦しめるんだ?
神がいるなら憎みたい
でも、律と会えたのが神のお陰なら、
神を許す
だから律
無事で、いて
律
高野さん…今、どうしているかな
ちゃんと仕事をしているかな?
……高野さんの事、どうせ忘れちゃうから、今は考えていてもいいかな…?
今、俺は里奈の家に泊まっていた
居たのはハムスターと鳥だけ
親は仕事が忙しいらしい
寂しい?と聞くと
『お母さんもお父さんなんて、居ても居なくても一緒だから別にいらない』
寂しさは微塵も想ってないようだった
それもある意味寂しいが…
今は風呂も入って布団の中
里奈は中学生の為勉強中
「高野さん…」
好きだよ
大好き
声を聞きたい
姿を見たい
触れたい
胸が痛い
チャリ~ラ~ン♪
携帯がなった
こんな時間にだれ?
パカッと画面を開くと、愛しい人の名前
しまった
電話番号しか変えてなかった…
でもつい、メールを開いてしまった
『律 どこにいるんだ。なんで消えると書いてある!絶対に見つけてやる。逃げんじゃねーぞ』
「クス…高野さん」
余りにも高野さんらしくて笑ってしまった
液晶画面を指で撫でる
一応短い返事を送り
…着信拒否をした
高野さん、許してください
貴方を忘れる為なんです
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