ジェネシスの、とある日常

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ジェネシスの朝は早い。 まだ日が差し始めたばかりの廊下を歩く蓮は、食堂から漂ってくる香りに釣られそちらへ歩いていた。 やはり、これだけの組織の構成員全員の腹を満たす量となれば、かなり早い時間から準備しなければならないのだろう。 そのメニューも、一週間ごとに行うアンケートや、それまでの注文の傾向から料理人たちが分析し、日替わり定食の様式を採っていた。 そして現在、その開いたばかりの食堂に、ある人物が顔を出す。 毎日欠かさず、他の団員達が来るよりも前に朝食を食べにくる珍客だ。 「おはようさん、リーダー。…カノンの奴が、遅寝早起きを心配してたぞ?その内、リーダーが食べる夜食に睡眠薬を混ぜる事を本気でしかねん勢いだったが…」 その男・ハースに気づいた料理長がカウンターに乗り出して声を掛けてきた。 「……その時はそれとなく教えてくれ。心配してくれるカノンには悪いが、今は休める状況じゃないからな…」 ハースは料理長との会話に苦笑すると、テーブルに腰かけた。 「今が踏ん張り時かい?…まぁ、何事もほどほどにな。…いつものでいいかい?」 「あぁ、頼む」 ハースの頷きに料理長は快活な笑い声を上げて奥の方へ消えていった。 そしていつものように、ハースはテーブルの上にある朝刊へ手を伸ばし読み始める。 それが、このジェネシスの変わらぬ朝の一幕である。 しかし今日は、その食堂にこれまた珍客が顔を出した。 「……こんな朝早くから、食堂ってやってるもんなんだな…」 ルリに睡眠を邪魔された挙句、あの後一睡も出来ていない蓮である。 食堂に入ってきた蓮に、ハースは朝刊から目を離して蓮に声を掛けた。 「珍しいな…。こんな時間に食堂で人を見かけるのは、君が初めてかもしれんぞ」 「…いつもどのタイミングでアンタが朝飯食ってるのか疑問だったが…。まさかこんな早朝に食ってたのか?と言うか、アンタ睡眠時間何時間だ?」 「ハハハ、何とも今日は朝から耳が痛いな…。どうだ、少し話でもするか?」 ハースからの提案に、蓮は無言でうなずいて向かい側に腰かける。 蓮が入ってきた事に気づいた料理長が、これまた同じようにカウンター奥から声を掛けた。 「おぉ、今日は早起きなメンバーが居たもんだ。…メニューは―――」 「白飯とみそ汁。あと――」 「焼き魚だろ?Okだ、少し待ってな」 全てを言う前にこちらの趣旨を理解して奥に消えていく料理長。
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