ジェネシスの始動

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蓮がジェネシスで最終調整をしている間、学園に居るディオたちはエドの伝手を頼って方々に探りを入れたが、婚約はまだ正式公表されていない為、どうも情報の集まりが悪かった。 そもそも同じ四大貴族とは言え、他家の事情に首を突っ込むは越権行為だ。 そう易々と婚約を破棄できるはずもなく、あっという間に舞踏会当日となってしまった… 「(どうする?エド)」 「(予想通り警備は厳重。招待客だって近親貴族しか集められていないんだ…。そんな中、ロッティちゃんと僕の友人って事で何とかみんなの招待券は集められたけど、これ以上は手の出しようがないよ。取り敢えず今は、怪しくない様紛れるしかない。それに、僕もそろそろ知り合いの家に挨拶に行かないといけないし…)」 予定通り催された仮面舞踏会。 果たして近親貴族しか集められていないのに仮面を被る理由はあるのかと疑問に思ったディオだが、貴族には貴族にしか分からない事情があるのだと思い、特に興味も示さなかった。 そもそも近親貴族とは言うが、何処かで話を聞きつけたのか、明らかに貴族とは関係無い身なりの者たちも数多くいる。 恐らくはディオたちの様にどこかの近親貴族に取り入り、この場でジンに商談を持ちかけようとしている商人か、その類なのだろう。 経済界を引っ張るシルト家に顔と家名を憶えて貰うだけでもと、なかなか強かな人間が多いらしい。 エドとウォルカは家が用意したのであろう、細部に細かい装飾が施された正装を身に纏っており、ディオやファサリナたちはレンタルしたスーツやドレスで何とか場に溶け込んでいた。 女子たちの鮮麗されたドレス姿に目を奪われる一幕もあったが、ここに来た目的はドレスに目を奪われる事ではない。 (まるで宮廷やな…)と、ディオは豪奢な調度品やシャンデリアが垂らされてる場内を見て、別世界に紛れ込んだような錯覚に陥ってしまっている。 ダンスが行われている会場の中央部分は十分な光量で照らされており、取り囲むように置かれたテーブルには立食形式の料理などが置かれている。 また二階席も用意されており、そちらの方はあまり照明の光が届いておらず、何やら怪しい雰囲気が漂っていた。 (あぁいう所で、秘密の商談とかしとんのやろか…?)などと、二階席を見て皮肉げにほくそ笑む。
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