じゃあね。

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「もう……せっかく私の門出だってのに……」 「うん……」 女は男の隣に間をあけて座る。 冷たい風が吹く。 ヒューヒューと冷たい風は雪を乗せ静かに吹く。 遥か遠くからカタン、コトン、カタン、コトンとゆっくりと電車がやってくる。 「……あの日の事覚えてる?」 女は問う。 「あの日?」 「そう……昔、小学生の頃、私虐められてたでしょ?」 「……あぁ」 「それで君はいつも助けてくれてたよね……今さらだけどありがとね」 「……本当に今さらなんだな……」 カタン、コトン、カタン、コトン。 電車は徐々に近付いてくる。
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