30人が本棚に入れています
本棚に追加
「泣いてるの?」
女はくすくす笑いながら男の顔を覗きこむ。
「なっ、泣いてねーし!」
慌てて顔を反らす。
「ふふ……君も泣けるのね……」
「…………泣けるよ……そりゃ……」
「ね……どうだった、あの日の私……」
「……」
「どんな顔してた?綺麗だった?」
「うん……綺麗だった……」
震える声で答える。
「そっかー……私、あんなに派手に車に跳ねられたのにね……綺麗な顔してたんだ~……」
「……」
彼女は笑う。
目を細める。
電車の近づく音が大きくなってきた。
最初のコメントを投稿しよう!