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「私、もうだめっ」
とログハウスの1階で、大の字に寝そべっている、真菜が言った。
「私も手伝おうと思ったんだよ?だけど、あの見かけによらず、ドSクイーンにつかまっちゃって、うどんの袋をあけさせられちゃったの。」
私はプンスカしながら、真菜に向けていたうちわを、あおいでいた。
気がつくと、ものすごいスピードであおいでいた。
「もうそんなにあおがなくてもいいよー」
と真菜はむくっと起き上がり手のひらをこちらに向けてきて、ストップという顔をした。
「てゆーかさぁくじ運なさすぎだよね…実行委員がこんなに辛かったなんて…。」
はぁと言いながらまた仰向けに寝そべった。
「はは。真菜は別だよ。駐車場から食堂まで結構あるのに20キロものお茶を運んできたんだから。」
私はまたうちわを真菜に向ってあおぎ始めた。
「それよりさ蘭は好きな人できたの。」
「えっ。何?急に。ビックリするじゃない。」
「いやぁそんなに動揺しなくてもいいんじゃないの。」
私はあおいでいたうちわを、もうすでに「あおぐ」とは言わないほどブンブン回していた。
「えっ。あっもしかしてこれ?これね最近テレビでやってたの。猛暑が続くから、こういううちわのあおぎかたが涼しく感じるんだって。」
私は目が点になっている真菜の顔がおもしろくつい吹き出してしまった。
「ねえ。言っておくけど、春なのに猛暑なわけないでしょ。あんたって本当に天然なのね。現に24度しか室内温度ないのよ?」
私は動揺を隠そうと必死になっていると、今度は真菜が笑いだした。
「本当に面白い。あんたはきっと心の中に黒いものなんか持っていなさそうだね」
私は全く意味がわからなかった。
だがつい、うんありがとうと言ってしまった。
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