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父さん…母さん…ごめんなさい… あなた達に貰った体…継ぎ接ぎだらけになってしまった。 私が今いるのは暗闇で光が届かない。 お姉ちゃん…私今とっても辛いよ…。 助けてよ…お姉ちゃん…。 『出ろ。』 ガチャリと音を立てて重たい扉が開き男が入ってくる。 …あぁ、また始まるんだ。 体のパーツを取り替える実験が。 今日はどこかな? この前は左足、その前は右足。 その前は耳、その前は目…今日は… 『左腕に部分麻酔を。』 今日は左腕。 今日は抵抗してみようか…。 「やめろ…やめろぉ!! これ以上父さんと母さんが残してくれたものを奪うなぁぁ!!」 暴れた。 力の限りに暴れた。 だけど結局、押さえつけられて終わり。 左腕を…かえられた…。 『次の実験で暴れたならば、貴様の仲間がどうなると思う?』 そう言い残し、男は去り私はまた部屋へ押し込められた。 「ソル…ルカ…皆…逢いたいよ…。」 一番はじめに取り替えられた筈の心臓のモーターがキシリと音をたてて痛んだ。 「あ…」 左腕の縫い目が解けて落ちた。 落ちた腕の断面をみると、そこは…腕の中は機械だった。 「…っ!!」 私はもうあの頃の私じゃない。 「私の帰る場所はもうどこにもない…。」 (ヒナタ…お前どうして…っ!!) (ターゲットを発見。これより排除します。)
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