第一章 非日常は突然に

3/40
前へ
/259ページ
次へ
「よっ!!なにぼ~っと歩いてんだよ!」 不意に、後ろから誰かに声をかけられた。 面倒くさかったのだが、俺は立ち止まり仕方なく後ろを振り向く。 視線の先には、人懐っこい笑みを浮かべた男子生徒が居た。 「なんだ哲太かよ.......お前は毎度のことながら朝から元気だな」 俺の振り向いた先には、同じクラスの小池哲太(こいけてった)が片手をあげてこちらに歩いてくるところだった。 「んだよ!そういうお前は、朝いつもテンションが低すぎんだよ!」 などと笑いながら哲太は俺の隣に並ぶ。 それを確認すると、俺らは歩き出した。 歩きながら、俺は哲太の横顔をちらっと確認する。 哲太は学年の中でも五本の指に入るほどの男前だ。 それに加え、誰に対しても人当たりが良く男女とわず友達が多い。 どちらかといえば、謙虚な性格もあってか男友達の方が多かった。 小学校の頃から一緒だった俺にとって、こいつは無二の親友だ。 「うるせえ。俺が朝からハイテンションだったらキモいだろうが」 「あ~......それは言えてるな!そうなったら俺、お前の友達やめるかも.....」 「.......それはそれでありだな」 「うぉい!!そこは否定しろよ!!!言ってる俺が悲しくなったわ!!」 「安心しろ。軽い冗談だ」 俺らは毎朝の日課のように、お互い笑いながらこんなくだらないやりとりをする。
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加