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「よっ!!なにぼ~っと歩いてんだよ!」
不意に、後ろから誰かに声をかけられた。
面倒くさかったのだが、俺は立ち止まり仕方なく後ろを振り向く。
視線の先には、人懐っこい笑みを浮かべた男子生徒が居た。
「なんだ哲太かよ.......お前は毎度のことながら朝から元気だな」
俺の振り向いた先には、同じクラスの小池哲太(こいけてった)が片手をあげてこちらに歩いてくるところだった。
「んだよ!そういうお前は、朝いつもテンションが低すぎんだよ!」
などと笑いながら哲太は俺の隣に並ぶ。
それを確認すると、俺らは歩き出した。
歩きながら、俺は哲太の横顔をちらっと確認する。
哲太は学年の中でも五本の指に入るほどの男前だ。
それに加え、誰に対しても人当たりが良く男女とわず友達が多い。
どちらかといえば、謙虚な性格もあってか男友達の方が多かった。
小学校の頃から一緒だった俺にとって、こいつは無二の親友だ。
「うるせえ。俺が朝からハイテンションだったらキモいだろうが」
「あ~......それは言えてるな!そうなったら俺、お前の友達やめるかも.....」
「.......それはそれでありだな」
「うぉい!!そこは否定しろよ!!!言ってる俺が悲しくなったわ!!」
「安心しろ。軽い冗談だ」
俺らは毎朝の日課のように、お互い笑いながらこんなくだらないやりとりをする。
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