第一章 非日常は突然に

5/40
前へ
/259ページ
次へ
「いや、全く知らん」 「はぁ~。お前は情報に疎いな~。仕方がない!俺が簡潔に説明してやるからよく聞いとけよ!!」 「手短にな」 そう俺が釘を刺すと、哲太は「分かってるって」と言い笑った。 「最近.....変死体がよく発見されてんだよ」 「変死体??」 「そう。で、その死体っていうのが.......何故か身体中の血がないらしいんだよ。特に目立った外傷はなし。しいて言えば、身体の二箇所に針の穴くらいの傷がある程度らしい。しかも、その変死体がこの近くで発見されたんだってよ!」 俺が知らなかったのが嬉しいのか、哲太はニュースの受け売りであろう情報を話し始めた。 俺はそんなこいつに自分の意見を話す。 「そんなもん犯人がその小さな傷から血を抜いただけだろ?犯人が医療関係者なら、血を抜くことぐらい簡単にできそうだしな。それで血を抜いた後、死体をその辺に捨てた。別に変死体でもなんでもねえんじゃね?」 「それならなんで傷が二つあるんだよ?血を抜くだけなら傷は一つでいいはずだろ?それに、死体を捨てるんならもっと分かりにくい場所に捨てればよくね?」 「それは........確かに」 「だろ?」 俺を少し納得させたのが嬉しかったのか、哲太がしてやったりな顔で俺をニヤニヤしながら見てくる。 ……何となく面白くなかったから、俺は目を合わせないでやった。
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加