第一章 非日常は突然に

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************** 俺の通う鞠野淵高校は、全校生徒千人程度のごく普通の共学校だ。 高校は市街地の中に建てられており、その条件のせいか度々授業中に抜け出す生徒もいる。 しかし不良高校というわけでもなく、抜け出してコンビニにいく程度のかわいいものだ。 まあ、俺もその内の一人であるのは言うまでもない。 チャイムが鳴るのと時を同じくして、俺ら二人は教室に到着した。 「ハァ......ハァ......あっぶね~!ギリギリセーフ!!」 哲太は汗だくで自分の席に座る。 走ってきたからシャツが汗で透けてるな。 哲太の前の席が俺の席なのだが、俺は汗もかいておらず涼しい顔をしながら座った。 すると、タイミング良く担任が教室に入ってきた。 「何とか間に合ったな!あいつ、遅刻するとうるせえしな」 呼吸も整ったのか、哲太が後ろから小声で話しかけてきた。 俺は少し後ろを向く。 「俺は遅刻してもよかったけどな」 「そりゃ入学式にすら遅刻してくるぐらいだからな。お前のせいであいつの長い説教を聞くのは、俺は御免だね」 そう、俺は入学式から遅刻をした。 理由は、もちろん面倒だったから。 「そんなに遅刻が嫌なら、もう少し早く学校に行けばいいだけだろ」 「お前………俺が朝弱いの知ってるくせに酷いこと言うなよ……」 「………そういえばそうだった。すっかり忘れてた」 哲太は何か言いたそうにしてたが、担任が睨んでると分かると黙った。
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