第一章 非日常は突然に

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「あの席の奴、なんで今日いないんだろうな?」 哲太は驚いた顔で見てきた。 するとその直後、呆れたように溜息をつく。 俺なんか可笑しなこと言ったか? 「はぁ~~。薫は本当にあいつの話を一つも聞く気ないんだな……」 「いきなり何だよ?」 「言葉どおりの意味だっつうの!田中はお通夜やら葬式の準備で、今日は休みだってよ」 俺は哲太の説明に思考を巡らす。 「……………田中って誰だ?」 「……………………」 俺の言葉に、哲太は絶句している。 「おい哲太?」 「………お前、クラスメイトの顔と名前くらい覚えてやれよ………」 そう言うと、哲太は額に手を当て首を横に振る。 「うるせえ。たかが半月で覚えられるか!」 「お前はそういう奴だったよ」 「……で、なんで葬式なんだ?」 「いや俺もそこまでは知らねえよ。おおかた、身内の誰かが亡くなったんじゃねえの?」 すると、俺の疑問に答えるように、担任が話しだした。
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