第一章 非日常は突然に

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「え~…皆さんも今朝のニュースを見た人もいると思いますが、先日この付近で亡くなった方が実は田中君のお姉さんなのだそうです」 担任の説明に、クラス中でざわめきがおこる。 クラスの誰一人として、予想外のことだったようだ。 まあ、俺もそのうちの一人なのは言うまでもない。 「……まさか今日のニュースの被害者が、うちのクラスの奴の姉ちゃんだったなんてな」 哲太も驚きを隠せないようだ。 「ああ。他人事と思ってたが………身近な出来事だったな」 クラスのざわめきが収まる気配がない。 皆そこら中で友達と会話している。 「え~、静かにしなさい!」 担任が注意すると、クラスは静かになる。 皆担任の次の言葉を待っているようだ。 「今日の夜にお通夜があるそうです。皆さん、よかったらクラスメイトの力になってあげて下さい」 それだけ伝えると、担任は普段よりホームルームを早く切り上げ教室から出ていった。
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