41人が本棚に入れています
本棚に追加
**************
何分、いや何十分走り続けたことであろうか。
恵子はついに脚がもつれ、勢いよく地面に倒れてしまった。
転んだ拍子にストッキングは破れ、膝から血が滲む。
(痛い......ハァ...ハァ.........何なのよいったい.......)
息を切らしながら、恵子は後ろを振り向いてしまった。
好奇心が本能に勝ってしまった。
しかし、後ろを振り向いても何の姿もない。
そして今まで聞こえていた声も聞こえなくなっていた。
(ハァ....ハァ......なによ!別に誰もいなかったんじゃない!はぁ~~~.......疲れて損した)
誰にも追われていなかったことが分かり、恵子は内心安堵する。
自分の勘違いが招いた錯覚であったのだと納得することにした。
恵子は呼吸をととのえるために、ゆっくりと一度だけ深呼吸をする。
(さっきの時計の件もきっと錯覚よね。あんなに時間が経ってるはずないもの。あ~、汗かいちゃった!早く家に帰ってシャワー浴び.........)
最初のコメントを投稿しよう!