プロローグ

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************** 何分、いや何十分走り続けたことであろうか。 恵子はついに脚がもつれ、勢いよく地面に倒れてしまった。 転んだ拍子にストッキングは破れ、膝から血が滲む。 (痛い......ハァ...ハァ.........何なのよいったい.......) 息を切らしながら、恵子は後ろを振り向いてしまった。 好奇心が本能に勝ってしまった。 しかし、後ろを振り向いても何の姿もない。 そして今まで聞こえていた声も聞こえなくなっていた。 (ハァ....ハァ......なによ!別に誰もいなかったんじゃない!はぁ~~~.......疲れて損した) 誰にも追われていなかったことが分かり、恵子は内心安堵する。 自分の勘違いが招いた錯覚であったのだと納得することにした。 恵子は呼吸をととのえるために、ゆっくりと一度だけ深呼吸をする。 (さっきの時計の件もきっと錯覚よね。あんなに時間が経ってるはずないもの。あ~、汗かいちゃった!早く家に帰ってシャワー浴び.........)
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