プロローグ

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「ーーをーーわせー」 「!?」 不意に、あの声が聞こえてきた。 恵子は緊張からか体を強張らせる。 「ーーーをすわせて」 今度は耳元で声が聞こえてくる。 声の正体は恵子のすぐ側にいるようである。 恵子は声の正体を確認してみたかった。 しかし、またもや本能がそれを拒んでいる。 それでも、恵子は恐る恐る声の聞こえる方へ振り向いてしまった。 『血を吸わせて』 この言葉が、田中恵子がこの世で聞いた最後の言葉となってしまった。
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