第一章 非日常は突然に

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ここ鞠野淵(まりのぶち)市は人口二百万人の大都市である。 駅前には県内有数のショッピングセンターや商店街があり、夕方になれば駅前は学生から社会人、お年寄りまで老若男女とわず活気に満ち溢れる。 しかし一歩駅前から外れると、閑静な住宅街も広がっていた。 そんな鞠野淵市には、今日もいつも通りの朝がおとずれる。 何の変哲もない朝。 そして誰もがいつも通りの日常を過ごしていく。 俺、椎名薫(しいなかおる)はそんな日々に嫌気がさしていた。 何か不思議なことが起きないかと、日々の生活で期待していた。 俺は、いつの頃からか非日常に憧れている。 親父は普通のサラリーマン。 母親は専業主婦。 そんな普通の家庭から逃げ出すように、高校の入学を機に一人暮しを始めた。 高校に入学すれば、今までの生活が何かし変わるかもしれないと期待していた。 しかしそう簡単に非日常がおとずれるはずもなく、退屈な生活をおくっていた。 そして今、俺は通学路を歩いている。 目の前に拡がるいつもと変わらぬ街並みに、当然の如く何の興味も湧かない。 (たく.........今ここに隕石とか落ちてきたら面白えんだけどな。妥協してUFOでもいいけど) などと少し突拍子もない妄想をしながら歩いている。
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