―距離―

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「あれ、おかしいな。私みたいな性格の女子って万人受けする筈なんだけど」 「万人受けしそうな奴だから鼻につくんだよ」 「トビ君は随分とヒネくれてるなあ。でもそんな君だからこそ、ルーイとうまくいってたりするんだろうね」 「……」 「こらこら、無視はやめようよ。二人っきりで無視されるとか、それもうほとんどいじめじゃない」 「一度しか言わねえぞ。俺を通して、ルーイを探ろうとするのはやめろ」  俺は言う。問答無用でボコボコにし、脅迫すれば良い場面ではあるが。シャオには一度、魔法で上をいかれている。そんな相手に脅迫が完璧に通る筈もない。だから一度だけ、俺は交渉をした。 「私がルーイを探ろうとしている? 何言ってるのさトビ君――って、言えば誤魔化せるのかもしれないけどね。そうすると君との友情はありえなくなりそうだし、素直に認めておこうかな。なんで気付いたの?」  深い、深い笑顔に見えた。天真爛漫、明朗快活、馬鹿満開と名札に書いてありそうな人間を前にどうしてそんな直感を抱いたのか。理由なんざ知らねえが、抱いた以上、俺にとっては苦手な人間でしかない。 「昨日もテメーは、ルーイがいねえ場面で俺にルーイの話を振った。意味不明な回答をしてみたら、直接ルーイに付きまとった。そこまでは良い、お前が誰と話そうが自由だ。じゃあ今日こうしての、二度目はなんだ? ルーイと話せたのに」  大したことは何も話せなかったんだろ?  魔法使いにビビってやがる、あのポンコツとは。 「トビ君は随分と、人を穿って見るんだね」 「人をハナから受け入れられる奴の方が、俺にとっちゃあどうかしてる。まあそう気を落とすな。間違いなくお前は万人受けする性格だ。俺やルーイみてえなのを除けばな」  声を出してシャオは笑う。風で広がる緑の髪を抑え、やや憂いの色を瞳に混ぜて。遠くに目を馳せ話を続ける。
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