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灯りが無いとダメだという至極当たり前な理由に、またもオッサンに運んで貰った俺は、とある民家で、上着を剥ぎ取られた。
「オイ、何すんだテメェ」
「口答えとは良い度胸ね。麻酔じゃなくてトドメでも刺してあげようかしら」
「流石、胸と同様貧しい心だ」
「メス」
「ぐああああッ!?」
「シ、シズクちゃん!? メスを使うくらい酷い怪我なのかい!?」
「ええそうよ。中に溜まってる汚物を取り出す作業ですから。集中したいので出来れば一人にさせてください」
「わ、分かった。兄ちゃん、がんばれ!」
「あとでメシ食わせてやっからな!」
「メシ要らねーから助けてくれ!」
「はーい患者さんは黙ってなさい。麻酔無いから気ぃ入れないと死ぬわよ」
「テメェに治す気が無いから死ぬんだよ! あっ、待てオッサン! 帰ってきやがれェ!」
「ハサミ」
「あァァァァァア!?」
百戦錬磨だの悪鬼羅刹だの囁かれた俺だったが、此処まで残虐な相手は初めてだ。それも女、コイツいつか殺す。
「はぁい、痛いのが嫌なら復唱しなさい? 〝僕は貴女に服従します〟、はい」
「テメっ、医者じゃねーのか!?」
「残念ね、免許は無いわ。けど安心しなさい、腕は一級」
「……チッ。悪かったよ、治してくれ」
「あんた何様? お金無いんだから服従くらいしなさいよ」
「だったら俺は臨終を選ぶね」
「生意気」
「ほっとけ」
ああ腹立つ、なんだこのオレンジ髪。医者と言われて来たかと思えば、どう考えても同年代。
出会い頭に貧乳っつっただけでキレやがった。医学かじってんならカルシウムくらい摂っとけっての胸の為にも。
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