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その後、松渡利先生の取り調べは徹底的に行われた。
署内で起きた二つの事件を見事に解決したテリーは、署長にベタ褒めされ、それを見ていただけのオレは、
副署長に「手柄を一般市民に盗られるなんて何をしとるんだ! さっさと山に帰れ!」と雷を落とされた。
「テリー、ありがとう。おかげで姉さんの事件が解決できたよ」
いくら副署長に雷を落とされようと、テリーのおかげで姉さんの事件が解決できたんだ。
感謝することこの上ない。
「私は、テレサ様の為に当たり前のことをしただけよ」
テリーは、警官の制服から普段着に着替えた。トレードマークの頭の上で束ねた髪型はそのままだけど、普段着のテリーは、制服姿にましてかわいい。
って、だから、なんでオレはこんなことを考えてるんだよ。
自分に突っ込むのが悲しい。
テリーと始めた会ったときからそうだった。
姉さん以外にときめくはずのないオレが、何故か彼女だけにはときめきに似たような感情を抱いてしまう。
テリーの迎えの車を待っている七色警察署の裏口には、オレたち以外誰もいない。
ここなら、オレがなかなか口にすることができなかった一言を、彼女に言うことができる。
オレは、大きく深呼吸をする。
「なぁ、テリー」
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