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「あ、署長。おはようございます」
白髪頭の渋い二枚目親父、この七色署で最も権力を持つ男だ。笑顔で犯人を追いつめる、通称スマイルキラー。
「はい、オレは姉さんの事件を解決したいんです。姉さんが、調書のように、階段で足を滑らせてしまったなんて考えられません」
姉さんは、確かにおっちょこちょいなところもあるけれど、雨も降っていないのにあんな所で足を滑らすはずがない。
「そうか、では、君がここに残って捜査ができるように協力してあげよう」
「本当ですか! 署長」
ここに、神が舞い降りた。
「その代わり、交換条件がある。何、簡単なことさ」
「はい、オレ。何でもします」
降って湧いた奇跡に手を合わせる。
「はは、心強い」
オレの熱い思いに、署長が共感してくれるなんて。世の中には、捨てる神あれば拾う神ありだな。
「では、この子のことよろしく」
「へ?」
署長は、おもむろに自分の隣に座っている少女を指した。『一日警察署長』というタスキをかけている。
いつの間に、いたんだ?
「一日警察署長のテリーちゃんだ。今、日本で一番人気のあるアイドルお世話が見られるなんて、嬉しいだろう」
警部に肩を豪快に叩かれる。
「い、いえ。申し訳ないですが、ダレですか?」
オレの予想外の一言で、警部の笑いがピタッと止まった。
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