あなたを見てる☆

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 いやだって、オレはアイドルに関心がないだもん。 「君、テリーちゃんを知らないのか。今日だって、富士山テレビのお昼の生放送番組『笑ってグッドフレンド』の生ロケでここに来てくれたんだぞ。全く、君は信じられない変わりものだな」  哀れな生き物だといわんばかりに見られても困る。  オレも姉さんもお昼は、裏番組の『はりきってGО!』派なんだから。 「そんなことはないですよ。『笑ってグッドフレンド』もつい先週から火曜日レギュラーになったばかりですから。知らないのも無理ありませんわ」  署長の隣に座る少女は、オレに目を合わせるとニコリとほほ笑んだ。  小柄で、小さな顔に大きな瞳が印象的なかわいらしい少女。オレより少し年下といったところか。女性警官の制服に身を包み、髪を頭で束ねている。  そして、ただよう秘めた美しさ。  ……、いやいや、オレは何を考えているんだ。 この世に姉さん以外に美しい者がいるはずがない! 「まぁ、君がテリーちゃんのことを知らないなら、さらに都合がいい。テリーちゃんのテレビの生放送は終わったんだが、彼女のたっての希望で署内の見学がしたいそうなんだ。案内と警備を兼ねてやってくれんか」 「わかりました。マネージャーさんも一緒ですか?」  アイドルなら、防犯上マネージャーも一緒に行動するはずだ。 「マネージャーは、他のアイドルの対応に行っていて今日はいないんです。スタッフさんも帰りましたから私一人です」  彼女が横から答える。 「おお、そうだったね。君の警備を私がやりたいところなんだが、緊急の会議が入ってしまったんだ」  署長が目頭をハンカチで拭う。  彼女はそんな警部を席に残し、自分は席から立ち上がり、オレの傍にやってきた。近くで見ると、彼女の背がそれほど高くないことが分かる。 「岸上英一朗さんっておっしゃるんですね。テリーらぶ伊藤(いとう)です。はじめまして、テリーって呼んでくださいね」 「では、彼女のことをよろしく頼むよ」  署長はそう言い残すと、オレと彼女を残して去っていった。
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