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「オレ、京都いくから」
綺麗な微笑み浮かべて
君が言い放ったのは
出会いから一年半の
初夏のことだった。
俺は中間考査で暫く休んでいて
君に会うのは久々だった。
「何で?」
「舞台」
「遠くね?通うの?」
「ふふっ…ムリだろ」
可笑しそうに笑った君は
俺の頭を軽く小突いて
「げんきでね」
って、少し寂しげな目をした。
そんなの初めて見るから
やけに胸がざわざわして
泣きそうになった。
「……どんくらい?」
「ん?」
「京都」
「ふ…しらない」
適当すぎる君が
東京に帰るのは、二年後になる。
オマケにアイツとも一緒だって。
それを知ったのは、
もっと後になってからだった。
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