出逢い

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あたしはその日の夜、夢を見た。 最近夢なんて見ていなかったから鮮明に覚えている。 家の近くの公園らしい風景。あたしは公園の中を覗いている。 ふと日溜まりに目をやると、侍らしき格好をした男の人が倒れていた。 深い蒼にも似た黒髪を1つに束ね、紺色の着物に黒色の袴を履いている。 その侍の胸には深い傷があり、胸に巻いたさらしが真っ赤に染まっていた。 あたしは何故かこの人を知っている。 遠い昔に出逢っていたような、そんな感覚を覚えて、放っておけなくなった。 あたしは助けなくちゃ…と必至になる…そんな夢。 今朝、そのことをお祖父ちゃんに話したら大笑いされた。 『時代劇の見過ぎじゃて』 確かに時代劇が好きで毎週欠かさず見ているシリーズもある。 でもそんな雰囲気ではなかった。もっと生々しくて、血の臭いもして、胸が潰れそうな位切ない気持ちになる夢。 …なんだか不安になる夢だった。
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