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辺りを見回すが、人の気配はない
「………。」
何かおかしい…これは本当に停電しただけなのか?
そう思いながら、暗闇の中へ一歩進む
「……………!」
その時、一寸の先も見えない暗闇の中に、人のモノではない気配を察知した
その気配はペタペタと足音を立てながら、七志の方へと向かってくる
「………ッ!」
月明かりすら差し込まぬ闇の中で、七志の眼は気配の正体を捉えた
ソレは大きな犬だった
ただ、一つだけ決定的に違うところがあった
その犬の顔は…人間そのものだったのだ
「ギュルルゥ…アギャアァァァァ!」
中年の男性のような顔をした犬は、聴いた事のない鳴き声を上げ、七志に飛び掛かってきた
「…ふッ!」
人面犬の飛び掛かりに合わせ、七志は蹴りを放つ
見た事などない生物から攻撃されたというのに、七志は冷静だった
「ギャヒィンッ!?」
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