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「言い残す事はあるか…?」
「…こうも完膚なきまで叩きのめされたのだ…あるわけがない。」
ここから大逆転などできるはずもなく…文也は大人しく斬られる事を選んだ。
「これ以上生き長らえるは恥辱の極み。早く首を討て。」
「…わかった。」
七志が夢切を文也の首に振り下ろす。
血飛沫が飛び散り、文也の首は空に舞った。
ドシャッという音を立てて、首が床に落下する。
それと同時に、首も身体も霧のように消えてしまった。
「………。」
床に落ちていた夢切の鞘を拾い上げ、刃の血を払い、七志はゆっくりと刃を鞘に納める。
壁と天上に亀裂が走る。
主を失った空間が元に戻ろうとしているようだ。
「………。」
七志は目を瞑る。
次に目を開けた時には、彼の視界にはきっと沢山の本が写るだろう。
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