幻惑

2/19
前へ
/136ページ
次へ
七志と別れた美雪。 罠や敵の気配を探りつつ、彼女も廊下を全速力で駆け抜けていた。 「何の気配も感じない…。七志の行った道はトラップだったのかしら。」 七志の事は心配ではあるが、今さら引き返す訳にはいかない。 「たとえ罠が仕掛けられていたとしても、七志ならきっと切り抜けられるはず。」 七志と美雪は従兄弟同士だった。故に物心つく前からの付き合いがあり、当然彼の実力も知っている。 「今は、私は私自身の事だけを考えるべきね。」 小さくそう呟いた後、美雪はさらに速度を上げて走り出した。 「!」 廊下の先に光が見える…。 「終点かしら…。」 速度を緩める事なく、美雪は光を目指して走り続ける。 光の先に、見覚えのある空間が見えた。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加