幻惑

6/19
前へ
/136ページ
次へ
「主に食糧を保存するために使われいていたこの術を、攻撃に転用したのが私の忍術よ。」 「なるほど…故にアイヌ流か。面白い…。」 懐から棒手裏剣を三本取り出して、男は怪しく笑う。 「術を見せて貰った礼…という訳ではないが、俺の術も見せてやろう。」 男が精神を集中させ、何か念じ始めた。その身体から湯気のように氣が溢れ出ている。 「悪いけど、妨害させて貰うわ!」 先ほど出した氷塊を、男に投げつける。しかし、氷塊は男をすり抜けていった。 「ッ!」 「ククク…さあ、惑え!震えろ!」 大きく氣を迸らせて、男は美雪を威圧する。 来るか!と美雪は身構えたが、男はスーッと消えてしまった。 「!?…消え…た…?」 あれほどの圧力を浴びせながら、攻撃するでもなく消え失せてしまった男とその気配。 もしかしたら、これから攻撃に出るのだろうか。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加