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「…………。」
相手が見えない以上、どう来るのかもわからない。
美雪は周囲の気配を探りながら氣を集中させる。いつでも反撃できるように…。
「!」
背後に気配を感じ取り、素早く振り返る。
そこには男の姿はなかった…が、代わりにある人物が立っていた。
「!七志!」
美雪が名前を呼ぶ。そう…そこにはあの男ではなく、七志が立っていたのだ。
「七志…どうしてここに?」
「俺の行った道は行き止まりだった。だから引き返してこっちに来た。」
「そう…ん?」
別れた時、七志は木刀を持っていた。だが、今目の前に立っている七志は木刀を持っていない。美雪はその事に気付く。
「木刀はどうしたのかしら?」
「木刀…?ああ…あれは折れたから捨てた。そんな事より…何故そんなに殺気立っている?」
「敵がいるからよ。」
「敵…どこにも見えないが?」
徐々にだが、七志は美雪との距離を詰めてきていた。…美雪はまだ気づいていない。
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