27人が本棚に入れています
本棚に追加
孝が七志の姿から元の姿に戻る。
「今のはほんの小手調べ。俺の術はこれからだ。」
ニヤリと口元を歪ませると同時に、孝は二人に増えた。
「っ!分身…!?」
二人に増えたかと思えば、今度は四人、八人とねずみ算のように次から次へと孝は増えていく。
そして、あっという間に美雪の周りを取り囲むまでに増えた。
「これは…!」
直感的に、これはただの分身の術ではないと感じ取った美雪。では、どういう術なのか…それがわからない。
「見破れるかしら?」
「!?」
美雪の耳に、自身の声が聴こえてきた。
声のした方に目を向けると…数人の孝の中に、自分の姿があった。
「貴様に。」
今度は七志の声。
振り返るとそこには七志の姿が…。
「こ、この術は一体…。」
汗が頬をつたって床に落ちる。
それは恐怖ではなく、緊張と不気味さから出たモノだった。
最初のコメントを投稿しよう!