幻惑

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孝が七志の姿から元の姿に戻る。 「今のはほんの小手調べ。俺の術はこれからだ。」 ニヤリと口元を歪ませると同時に、孝は二人に増えた。 「っ!分身…!?」 二人に増えたかと思えば、今度は四人、八人とねずみ算のように次から次へと孝は増えていく。 そして、あっという間に美雪の周りを取り囲むまでに増えた。 「これは…!」 直感的に、これはただの分身の術ではないと感じ取った美雪。では、どういう術なのか…それがわからない。 「見破れるかしら?」 「!?」 美雪の耳に、自身の声が聴こえてきた。 声のした方に目を向けると…数人の孝の中に、自分の姿があった。 「貴様に。」 今度は七志の声。 振り返るとそこには七志の姿が…。 「こ、この術は一体…。」 汗が頬をつたって床に落ちる。 それは恐怖ではなく、緊張と不気味さから出たモノだった。
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