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「幻術が解かれただとぉ…!なら、今一度掛けてくれる!!」
「ッ!」
怒りで半狂乱になりつつも、孝はもう一度美雪に幻術を仕掛ける。
「な、何て往生際の悪い…」
「何とでも言えぇ!今度は生きたまま身体を刻まれる幻を見せてやる!苦しみ!もがいて!絶望して死ね!!」
ノコギリ、刀、包丁、鋏…ありとあらゆる刃物が美雪を取り囲む。
「き、きゃあぁぁ!いやぁぁぁ!」
そして、美雪の身体を切り刻み始めた。
血が飛び散り、肉片が千切れ飛び、臓物がボタボタとこぼれ落ちる。
「は、ははは、ははははは!…は?」
そこで孝は気づいた。千切れた手が美雪のモノではない事に気づいてしまった。
では、誰の…?この手は男の手に見える…。
孝はまたしても気付く。
「き、き、切り刻まれているのは…お、俺…俺自身だぁ!」
その瞬間…孝の四股がバラバラに千切れ飛ぶ。リアルな痛みと共に。
「ひぎ…!ぎゃばぁぁぁ!?な、なんで…なんでぇ俺がぁぁぁ!?」
目の前に特大チェーンソーが現れる。
耳障りな音をかき鳴らし、孝の眼前まで迫り来る。
「ひい!ひぃやぁぁ!た、たす、助け、助けてくれぇぇぁぁぁ!!」
チェーンソーの刃が額に触れた瞬間、孝の視界に光りが広がった。
「ハッ…!」
光りが消えると、目の前には美雪が立っていた。勿論、五体満足で。
「う、あ、い、今のは…今のは一体…?」
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