幻惑

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「…これで元に戻るはず。」 天井や床に亀裂が入る。 パリーンというガラスが砕けたような音を立てながら、周囲の景色が四散していく。 全てが暗闇に包まれたかと思えば、次の瞬間には元の姿…図書室に戻っていた。 「美雪。」 背後から聴こえてきた七志の声。美雪は迷わず振り返る。 「七志…無事で何よりだわ。」 「…お前もな。」 互いに無事なことを喜ぶ二人。…七志は相変わらず無表情だが。 「保健室に戻りましょうか。梨花先生をいつまでも一人にしておく訳にはいかないし。」 「…………。」 美雪の言葉に、七志は黙って頷いた。 きた道を戻って、二人は保健室へと向かう。 七志と美雪がそれぞれの敵を片付けて、残りは三忍となった。 統馬達も保健室に戻っていたら、敵は全滅した事になる。 「梨花先生、ただいま戻りました。」 そう言いながら、美雪は保健室の扉を開く。 「青山さんに黒木君…お帰りなさい。」 ひどく疲れきった表情した梨花が、二人を出迎えた。 「統馬達は戻ってきましたか?」 「いえ…貴方達だけよ。戻ってきたのは…。」 「そう…ですか。…皆は大丈夫なのかしら?」
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