幻惑

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「あいつらなら大丈夫だろう。」 心配そうにしている美雪にそれだけ言って、七志は椅子に腰を掛けた。 決して適当に言った訳ではない。統馬達の力を信じて、そう言ったのだ。 「そうね。統馬も鉄男も、雛子も聖も、簡単にやられたりはしないはずよね。」 それは勿論、美雪にもわかっていた。 ガララッー 不意に、保健室の扉が開いた。 統馬達かと、七志と美雪が開かれた扉の先を見る。 そこにいたのは統馬達ではなく、白いスーツに身を包んだ一人の若い女性だった。 「く、黒木校長!」 梨花が驚いた顔で、叫ぶようにそう言った。 「おや、七志と美雪じゃないか。それに梨花教諭も。」 この白いスーツの女性は、先程梨花が言ったように、この学校の校長を勤めている。 そして、七志の… 「…姉さん。」 実姉であった。 「一沙(かずさ)姉さん、まだ学校にいたのね。」 七志の姉という事は、美雪にとっては彼女もまた従姉妹である。 「ふっ、生徒のお前達が残っていたのだ。校長の私が先に帰る訳に行くまい。」
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