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七志達と別れ、二階に向かった統馬と鉄男。
彼らも幻夢一族が潜んでいると思われる教室を見つけ、長く暗い廊下を歩いていた。
「ちっ、いつまでたっても奴らの所につきやしねぇ。」
「苛立ってんじゃねぇよ。このまま歩いてりゃあその内つくだろ。」
歩き始めて結構な時間が経っている…。この先に奴らはいるのだろうか。
「ああ、もう面倒くせぇ!コソコソ隠れてねぇで出てきやがれや!ビビってんのかオラァ!!」
苛立ちが限界にまで達した統馬が、壁に蹴りをいれながら怒鳴り散らす。
妖怪どもに見つかろうが構うモノか、と言った感じだ。
「お、おいおい…落ち着けよ。キレたってどうにもならねぇだろうが。」
鉄男は何とか統馬を宥めようとするが、彼の怒りはおさまりそうもない。
「クソがッ!…あ!?」
もう一発壁に蹴りを入れようとしたが、蹴り足は空振ってしまった。壁が突然消えてしまったのだ。
いや、壁だけではない…天井も床も消え去り、何も存在しない真っ暗闇に変わってしまった。
「どうなってんだ…。」
「お、俺が知るか…ようわぁ!?」
鉄男の体が、足下から闇に飲み込まれるように消えていく。
「て、鉄男!」
「と、統馬!うわ、わぁぁぁ!?」
鉄男を救おうと、統馬は彼の手を取ろうとしたが、間に合わなかった。
鉄男の気配が完全に消え失せてしまった。
「て、鉄男…!」
…死んだのか?
統馬の頭にそんな考えが過る。
「まさかな…体の頑丈さだけが取り柄のような奴が、そんな簡単に殺される訳が…。」
そうは言うものの、鉄男が本当に無事かどうかはわからない。
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