序章:葉月と心

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「ど、どど、どうしましょう!!」 「落ち着いて。 もう一度同じように転べば戻れるかも」 漫画だとそうだから。 あれ?でもどっちがどっちなんだろう? 私が驚かすべき? それとも新谷が? 状況的に再現するんだったら新谷が驚かすべきだけど。 「分かりました!! じゃあ私がここで待ってて葉月ちゃんを驚かせばいいんですね?」 まぁ、そっちかな。 「うん、私は驚いて転べばいいんだね」 私は新谷が来た道を戻る。 んー、でも驚かされるって分かってて驚けないよね。 まぁいいや、とりあえずちょっと早足で曲がり角を曲がる。 「わ、わぁ!!」 「……きゃっ!!」 驚けなかった。 でも驚いた振りはしておいた。 これで転べばいいんだね。 私は新谷の方に転ぶ。 新谷を巻き込んで倒れて……。 「……戻りませんね」 「もう一回!!」 その後何回も試した。 立場を逆にしたりした。 けど、何回やっても戻れなかった。
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