序章:葉月と心

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『見たら、これから家で裸で過ごします!!』 「見ません、ごめんなさい!!」 そんなことされたら家族に変態って思われる……。 妹の皐月に悪影響を与えかねない。 皐月、なんでも私の真似をしたがるから。 ちなみに今皐月は6歳。 私と10歳も離れてるんだよね。 『はーちゃん、誰とお電話してるの?』 あ、皐月の声だ。 皐月が近くにいるのかな? 『皐月、お姉ちゃん今大事なお話してるの。 後で遊んであげるからあっちに行っててね』 『はーい』 新谷は本当にすごい。 完璧に私を演じてる。 まぁ強いて言うなら、私は皐月に対しての一人称は『お姉ちゃん』じゃない。 『可愛いですね、皐月ちゃん』 「うん、皐月は可愛いよ。 本当に私の妹か心配になるよ」 『どう見ても葉月ちゃんの妹ですよ。 葉月ちゃんとそっくりです』 うーん、そうかな……。 『皐月ちゃんも、葉月ちゃんも、 とっても可愛いです』 全然嫌みがない。 新谷はきっと本心で言ってる。 新谷は色々特別なのにそれを誇らない。 多分それも人気な理由の一つだ。 「……ありがとう。 新谷みたいな人気者に可愛いって言われると嬉しい」 『私人気者じゃないです』 「人気者だよ。 人気じゃなかったら告白なんてされない。 それに家に帰ったら郵便受けに手紙いっぱい入ってたよ。 見ない方がいいよね?」 『いえ、見ても大丈夫ですよ。 皆さん応援してるみたいなことしか書いてませんし』 応援してるとしか書いてないとしても、 出した人達はきっと新谷に読んでもらいたいと思う。
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