序章:葉月と心

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本当に何もすることがない。 だからって私は勉強する気にはならない。 さて、どうしようね。 まずはお風呂かな? 私お風呂大好きだよ。 すごく気持ちいいもん、お風呂。 新谷の寝間着はどれかな? あと下着も用意しなきゃね。 「うわ、可愛いパジャマ……」 フリフリだよ。 新谷に似合わなそうだけどやっぱり似合いそうだよ。 さて、次は下着。 うわ、きれいに入ってるよ。 新谷几帳面だね。 なんだか私が見ていいのか心配になってくる。 でも、いいんだよね? 今は私が新谷で、しかも私は元々女なんだから。 私が元々男だったらここらへんで……。 『風呂、入っていいんだよな? でも見ちゃいけないような……。 で、でも見なきゃ洗えないし』 みたいな心の葛藤があったりすると思う。 でも私は男じゃないから新谷の下着を見ようと裸を見ようと興奮しない。 まぁ女同士の入れ替わりだったのは不幸中の幸いだね。 戸惑うことはあまりないし、お互いに見られても恥ずかしくない。 さて、新谷らしい可愛い下着を用意してお風呂にゴーだよ。 ……ん、待てよ。 お風呂沸かしてない。 家ではお母さんが沸かしておいてくれたから失念してた……。 誰も沸かしてくれる人いないじゃん……。 私は自分で沸かすことにする。 まぁ沸かすって言ってもボタン一つ。 これ、家にはないから憧れてたんだよね。
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