始まり

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――物語は其(そ)れ自体が一つの呪文になっており、読み終えた者は 主人公と同様の力を得、望みがかなう なぜなら物語は頁をめくった時事実と成って始まるのだから―― 次のページをめくってみると真っ白で何も書かれてなかった。 「……願いがかなう…ねぇ。そんな魔法の本じゃあるまいし。…それ以前に、嘘っぱちよ、こんなの。現に、次のページ真っ白じゃん」 馬鹿馬鹿しい。 リュックの中からケータイを出し、時間を確認すると12時半だった。 「…ヤッバ!!もうこんな時間じゃん!補習に間に合わない!」 私はあわててケータイをリュックに戻し、本をパタンと閉じる。 「……大体ねぇ、今の私には願い事がないの。…充分幸せだから。ま、願いを見つけるのもいいケドね」 そう呟いた瞬間、本がパァッと銀色に光だした。 「まぶっ!な、なんなの…!?」 あまりの光に私は本を離し、目を瞑った。 …な、何がどうなって…―― ――神話はこうして始まりを告げた――
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