12人が本棚に入れています
本棚に追加
――物語は其(そ)れ自体が一つの呪文になっており、読み終えた者は
主人公と同様の力を得、望みがかなう
なぜなら物語は頁をめくった時事実と成って始まるのだから――
次のページをめくってみると真っ白で何も書かれてなかった。
「……願いがかなう…ねぇ。そんな魔法の本じゃあるまいし。…それ以前に、嘘っぱちよ、こんなの。現に、次のページ真っ白じゃん」
馬鹿馬鹿しい。
リュックの中からケータイを出し、時間を確認すると12時半だった。
「…ヤッバ!!もうこんな時間じゃん!補習に間に合わない!」
私はあわててケータイをリュックに戻し、本をパタンと閉じる。
「……大体ねぇ、今の私には願い事がないの。…充分幸せだから。ま、願いを見つけるのもいいケドね」
そう呟いた瞬間、本がパァッと銀色に光だした。
「まぶっ!な、なんなの…!?」
あまりの光に私は本を離し、目を瞑った。
…な、何がどうなって…――
――神話はこうして始まりを告げた――
最初のコメントを投稿しよう!