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朝、目が覚めるとアラームが鳴る。
これは俺の特技だ、アラームの少し前に起きるというか目覚ましとの戦いというか…。
ささやかな勝利をあげると俺は制服に着替えて支度を始めた。
朝はカップ麺、これはかかせない。
「ふぅ、じゃあ行こうか」
寮暮らしだからか、独り言が少し多い。
もしかしたら前からかもしれない。
理由は三つ、去年から寮に住んでいるから、友達は大して多くないから、家族がいないから。
物心ついた時から施設に居た、んでそんな暮らしがいやで気合いで推薦を貰い、バイトしながらなんとか寮暮らしだ。
「よお、相棒」
ドアを開ける図ったように現れたのは、変態の悪友和泉慎吾。
優等生を絵に書いたような俺とは違い、赤い蚊に刺された皮膚のような髪の毛を纏う残念なイケメンっぽいような雰囲気があるような気がする、キチガイだ。
「よう、短小」
「お前それは禁句だろうがあああああああ」
とにかく面白いからつるんでいる、同じ寮暮らしだからかな。
まあそんな雰囲気メンを連れて学校を目指す、目と鼻の先なんだけど…桜ヶ丘学園、都内では有名な進学校でスポーツも強い。
「朝はもう少し静かに行こうぜ」
「確かに……すまん」
太陽の光が眩しいわ。
基本学校でもバイトない日でもコイツとよく絡む、こんな感じで。
これが錦織拓真の日常だ。
一年前、コイツと知り合ってから着実に和泉ルートに入りつつあった。
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