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「そ、そういう行為をする関係ではない。大体これは準強姦罪になるぞ。私が警察に行ったら間違いなく君は鑑別所に入るぞ?」
「いや本当にごめんなさい。で、でも一緒に寝ているのだから寝相とかでこういうハプニングはつきものなわけで…」
「私は嘘か誠かなんとなくわかる。さっきの君には下心があった。それ以外は仕方ない。そもそも私の添い寝はもっと綺麗なものだ。今度から気をつけてくれないと困るからな」
添い寝に綺麗も汚いもねえよ、全く。
大体桃香がブラをしてなかったから想像以上の感触に血迷った行為であってこのぐらいの年の男子ならむしろ当然の反応だと思う。
しかし驚いた、防音がないとはいえ部屋の中の悲鳴を聞き付け、数人がすぐに部屋にきたからな。
しかもその内の一人の執事が俺の耳元で囁いたからな、良からぬ事を。
「ぼっちゃま、性行為の時はわかりますのでご安心を」
なんてことを満面の笑みで言われたけど返答に困ったわ。
そもそもぼっちゃまってなんだよ。
「でもよかった。拓真の表情が前に戻った」
「そうかな?」
「昨日まで、甘えさせて誉めて誉めて悲しいよお僕って要らない子なの……みたいな顔をしていたからな」
悲しそうな顔をしていたでいいじゃんか、全く。
また殴られてなんで俺ばかりがこんな目に合うんだ。
立ち上がってシャワーを浴びるため足を踏み出したがなかなか進まない。
どうやら昨日のダメージが響いていたみたいだ。
「あの、肩貸して?」
「それは嫌だ、断固拒否する。身長差を改めて実感するような行為はしたくない」
「………自分より身長が高い女性って魅力的だと思う」
「そんな軽口で私を落とせたと思っているなら大間違いだ。ほ、ほら、お風呂場に行くのだろ、肩を貸そう」
面白い人だ。
こういった一面もあるから万人に受けるのだろうな。
一種のカリスマ性なのかも。
肩を貸りているから距離が近い。
桃香も寝起きだから少し汗の臭いがした。
だが女性のそれは良いものだと思えた。
うーん、人によるか、その人の体臭なんて。
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